【エーチームって】伊藤英明 親になって事務所社長の愛を改めて実感した
伊藤英明(エーチーム所属)
親になって事務所社長の
愛を改めて実感した
A-team(エーチーム)事務所社長
小笠原明男(おがさわら・あきお)
人気コミックを実写化した映画「テラフォーマーズ」(公開中)で、男気あふれる主人公・小町小吉を演じている俳優・伊藤英明さん(40)。放送中のフジテレビ系ドラマ「僕のヤバイ妻」にも主演するなど、まさに絶好調の仕事ぶりですが、私生活でも2014年に結婚、昨年には長男も誕生しました。そんな公私ともに充実している伊藤さんが、その礎を築いた恩人への思い、そして、秘めた覚悟について語りました。
恩人への思い、そして、秘めた
覚悟について語った伊藤英明
恩人ですよね。もっと名前を聞いてすぐ分かるような人の方がいいのかもしれませんけど、やっぱりどう考えても事務所の社長、小笠原明男(おがさわら・あきお)さんです。
僕が芸能界に入ったきっかけは「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」(1993年)だったんですけど、最初の事務所を3ヵ月くらいで辞めて、次の事務所も辞めて、そこから芸能界の仕事からは離れて、3年くらい家の解体のアルバイトをしていたんです。
やっているうちに現場を任されるようになったりして(笑)、しっかりと楽しんでやっていたんですけど、ある日、先輩に連れられて焼肉店に行ったんです。混んでいたので店先で並んでいたら、通りがかりの男の人から「君、何してるの?」って声をかけられました。それが、芸能プロダクションの部長さんで、この部長さんがたまたま僕の先輩と仲良くて、そんなつながりから紹介されたのが「A-team(エーチーム)」という今の事務所だったんです。
テラフォーマーズ(公開中)
そこから「A-team」の社長である明男さんから電話がかかってくるようになったんですけど、実は僕はあまり乗り気じゃなくて。「事務所に遊びに来いよ」と言われたんですけど、3ヵ月くらいそのままにしていたら、電話がかかってきたんですよ。「で、いつ来るんだ?」と。それでも3ヵ月ほど放置していたら「お前、この前来るって言ったじゃないか!!」と。それでも行かずにまた3ヵ月くらい経ったら、またまた電話がかかってきて、すごい剣幕で「来るって言ったら来いよ!!お前みたいなのは、東京に埋もれてダメになってしまう!!」って。
なんでこの人にそんなこと言われなくちゃいけないんだと思いつつも(笑)、さすがに事務所に行きまして、それで入ることになったんです。
なぜ、ちょっと会ったくらいの僕にそこまで熱のこもったことを言ってくれたか。
明男さんから直接言われたことはないんですけど、後々、テレビ局とか映画会社とか周りの人から漏れ伝わってきたところによると、「すごいのが入ってきそうだ」と言ってくれていたみたいでして。何かを感じ取ってくださっていたのか。
恩人への思い、そして、秘めた
覚悟について語った伊藤英明
だから、今から思うと、ド新人なのに、いきなりの抜擢が多かったんです。当時はそれも分からずにやっていましたけど、今考えると、ありえないくらいの番手の仕事をやらせてもらっていたなと。となると、それだけ、社長が頭を下げてくれていたということですからね。見い出してくれて、あきらめずに誘ってくれて、そして、いい仕事をこれでもかと与えてもらって。とにかく、とにかく、感謝しかないです。
当時は僕も若かったので、正直、迷惑をかけたこともあったんですけど、本当に根気よく、親のように、遠くから見てくれていました。何かがあった時に「そんなことやるな!!こうしろ!!」じゃなくて、本人がどう思っているかをすごく大事にしてくれる。明男さんのもとにいたからこそ、今もこの仕事をしているんだと心底思います。
あとね、ま、あんまり褒めてばっかりでもアレなんですけど(笑)、男気の塊のような人なんです。例えばね、あるCMの仕事があったんです。肉体を見せるようなCM内容だったんですけど、決まったのが急だったこともあり、体を作るのに間に合わない期間だった。ただ、僕はやる以上はしっかりとやりたいという思いがあったので「10日間、時間をください」と言ったんです。ただ、もうすでにその撮影スケジュールでスタッフさんも準備をしているし、流れも決まっている。
『僕のヤバイ妻』主人公・伊藤英明と
美しくも恐ろしい妻・木村佳乃
で、これも後から聞いたんですけど、それを受けて明男さんがCMの一番偉い関係者さんに「その流れでできませんでしょうか?もし、その流れにすることによってお金が発生したならば、それは、うちが全額負担しますので」という掛け合ってくれて、結果、時間をもらえたんです。
当時の事務所、大変だったと思うんです。そんなに世に出ているタレントもいないし、そんな中、マネジャーの給料も払わないといけない。さらに、僕も仕事なんてなかったのに、毎月決まった給料をくれてたんです。というのも、若いですし、アルバイトにのめりこんだりしたら、性格的にそっちにハマっていっちゃうこともある。それを明男さんは分かってくれていて、アルバイトをしないでいいように最初から給料を払ってくれていたんです。
そんな弱音は口が裂けても言わない人なんですけど、周りから聞いてみると、絶対に事務所も金銭的に楽な状況ではなかった。それでも、給料が遅れることは一回もありませんでした。
テラフォーマーズ(公開中)
恩着せがましくしてあげるんじゃなく、なんなら、してもらっているということを相手に感じさせない。人の痛みをくんで、自分の痛みは見せない。そういう人間に、自分もなりたいです。
この仕事をしていたら「あの仕事がなかったら、次もなかった」と思えるようなターニングポイントって、たくさんあります。ただ、その中でも今は40代に入って、結婚して、子どももできて、とりわけターニングポイントに差し掛かっているなと。
自分でもこんなに大きな動きがあるとは思ってなかったんですけどね(笑)。結婚に対しても何とも思ってなかったですし、妹に3人子供がいるんで子どももそれで十分かなと思ってたんですけど、やってみると大きく変わると言いますか。
テラフォーマーズ(公開中)
子どもができて改めて思ったのが、自分もこうやって明男さんから愛情を受けていたんだなということ。まだ親になって数ヵ月、結婚して、1~2年しか経ってないんですけど、そこのありがたさを痛感しています。
例えば、心配って皆なするじゃないですか。誰でも持っている感情。でも、こちらが心配していることが相手に伝わると、相手にとってはそれが意外とストレスだったりもする。勝手な話なんですけど、鬱陶(うっとう)しく思ったり、反発したり。当然、明男さんも僕に対して、心配をしていたんだと思うんです。でも、僕に対してはそれを出さない。出さないように努めるというのも愛情だと思いますし。それをサラッとしてくださっていたであろうことを息子を通じて、また気づかされました。
恩返しですか・・・。今の関係性で言うと、見てくださっている方が楽しんでくださったり、感動してくださったりする作品になるよう、自分が真剣に取り組むこと。これが、明男さんへの恩返しにもなると思っています。あと、そんな話、明男さんは言わないでしょうけど、もし、もし、あの人が本当に困ったら全てを投げ出して、何も言わず駆けつける。ずっと、その思いを持っていることでしょうね。
伊藤英明(エーチーム所属)
■伊藤英明(いとう・ひであき)
1975年8月3日生まれ。岐阜県出身。93年に「第6回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で準グランプリを受賞したことをきっかけに芸能界入り。「海猿」シリーズで映画・ドラマとも主演を務め、話題を呼ぶ。映画「テラフォーマーズ」では主役・小町小吉を演じている。フジテレビ系ドラマ「僕のヤバイ妻」にも主演。2014年に一般女性と結婚。翌年、長男が誕生する。
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